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「副業」を導入する際に注意すべきことは

 働き方の多様化に加え、新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務や休職の推奨、残業時間の抑制によって、労働者は時間を捻出しやすくなりました。

それに伴い、副業のニーズは年々高まってきており、容認する企業も増えてきています。

 しかし、労働基準法では1日・1週間当たりに労働できる時間に上限が設けられており、これを超過すると残業時間として割増賃金の支払いが必要となってきます。この仕組みは副業を行っている場合でも適用されるため、副業を容認している企業では労働時間の管理が重要になってきます。

 今回は、副業を行う際の労働者の労働時間、割増賃金の支払い、副業での注意点をご紹介していきます。

副業の労働時間の考え方

一般的な労働時間の考え方

 一般的な労働時間については、1日に8時間、1週間に40時間までと定められており、これを法定労働時間といいます。法定労働時間を超過した分に関しては、法定時間外労働(残業)として割増賃金の支払い対象となります。

 しかし、業務の状況によってはこの法定労働時間を超えてしまう事もあります。その場合には、労使間で36協定を締結しておくことで、月45時間・年360時間までの時間外労働が可能となります。

 また繁忙期等の臨時的かつ特別な事情がある場合には、特別条項を結んでおくことで年720時間、時間外労働と休日労働をあわせて月100時間未満の労働が許されます。

 協定で定められて労働時間を超えて残業をさせたり、36協定を締結せずに時間外労働をさせた場合には、6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が課せられる可能性があるため、使用者は慎重に管理をする必要があります。

・副業の労働時間の管理

 労働基準法第38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、 労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されており、 「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含みます。

 つまり、他社で副業している従業員の労働時間は、自社で労働している時間と通算する必要があり、「1日8時間、1週間で40時間」という労働時間の規定に変わりはないことを定めています。

 

 例えば、本業で月~金曜まで8時間勤務を行い、土日に副業として2時間ずつ勤務を行った場合、本業にて既に40時間(8時間×5日)の労働をしているため、土日に働いた4時間(2時間×2日)は、法定外労働時間となります。

割増賃金の考え方

 前章の例で考えたとき、土日に行う副業である労働時間については、すべて残業扱いとなるため、割増賃金の支払いが必要となります。

 副業における割増賃金の支払いは、まず労働契約の締結先後の順に、所定労働時間を通算します。次に、所定外労働時間を通算する事によって、それぞれの事業所での労働時間を把握し、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分について、割増賃金を支払う必要がある。

 つまり2社の合計労働時間が法定労働時間を超えてしまう場合には、基本的には後から労働契約を結んだ会社が残業代を支払うこととります。

 しかし、合計の労働時間が法定労働時間を超えていない場合には、実際に残業が発生したほうが残業代を支払う事になります。

副業によって労働時間が増加する際の注意点

健康面の影響に注意

 そもそも、労働基準法で1日・1週間の労働時間が定められているのは従業員の心身の健康面を配慮するためになります。

 そのため、使用者には、従業員が健康かつ安全に仕事に従事できる環境を整えることが義務付けられているのです。

 副業によって心身に大きな負担がかかっている従業員には、定期的に状態を確認し、必要に応じてアドバイスや指導を行う様に体制を整えておきましょう。

 近年では様々な働き方が常態化してきており、副業を導入する企業も今後どんどん増えてくる可能性があります。従業員にとってメリットが大きいため、導入の推奨がされていますが、その分、所定外労働時間に関する管理も難しくなるため注意が必要です。

 副業の導入により、乱雑になってしまう従業員の管理には、勤怠管理システムの導入がお勧めです。出退勤時間を客観的データに基づいて記録し、正確な労働時間を算出する事が出来るシステムを使って、適切な労働時間の管理を行っていきましょう。

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