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「〇回遅刻で、1日分の賃金カット」は違法!遅刻・早退時の控除額の計算方法について    

 

 やむを得ない理由により従業員が遅刻・早退をした際、その時間分の賃金の支払いを行わないという対応をしている企業は多いでしょう。これは、実際に労働していない時間について、賃金は発生しないという「ノーワークノーペイの原則」に基づいており、法令的に問題はありません。

 

 しかし「3回遅刻したら、1日分の賃金をカットする」といった規則を設けている場合、その3回分の遅刻時間の合計が「1日の所定労働時間」に満たなければ、それは違法となります。

 例えば3日連続で15分の遅刻をした場合、ノーワークノーペイの原則に基づいて控除できる賃金は「15分×3日=45分」分になります。これを1日の所定労働時間「8時間」分として丸々控除する事は、労働基準法第24条の賃金全額払の原則に反する事になり、違法となるのです。

 また、「30分未満の遅刻を、30分に繰り上げる」等の繰り上げ・繰り下げ行為によって、賃金から控除する事も違法となります。

 

 単純そうに見える遅刻・早退にもしっかりと法律で定められている項目があり、就業規則に記載を行わないと、後々法的な問題に発展しかねません。

 今回は、遅刻・早退が発生した場合には、一番迷う事も多いであろう、遅刻・早退時間の控除計算についてご紹介していきます。

 

【ノーワークノーペイの原則】とは?

 労働基準法において、企業は労働者が「労務」を提供していない場合、つまり働かなかった場合にはその部分についての賃金を支払う義務はないとルールが定められています。

 

 仮に、労働者が9時始業のところ1時間の遅刻をしてしまい10時から仕事を始めた場合、企業は労働が行われなかった1時間分の賃金を支払わなくても良いという事です。つまり労働者が遅刻や早退・欠勤にて労働を行わなかった時間分の賃金を、雇用者が支払う義務はありません。これを「ノーワークノーペイの原則」といいます。

 

このノーワークノーペイの原則は正社員・アルバイト・月給制・年俸制・・どの様な働き方であっても、すべての労働者に適用がされます。ただし、時給制の場合には「労働時間×時間単位」という働いた時間分に対して賃金が支払われる計算のため、そもそも働いていない時間に給与は発生しません。

 

遅刻/早退控除を適用する際の注意事項

 賃金に関する規定は労働者にとって最も重要な労働条件の一つであり、最もトラブルに発展しやすい箇所でもあります。労働基準法に照らし合わせたとき違法となる可能性もあるため、下記の2点をしっかりと把握しておきましょう。

 

①遅刻・早退の定義を就業規則に定めておく

遅刻、早退について、法律では明確な定義が定まっているわけではありません。そのため、就業規則にしっかりと「遅刻・早退」の内容について記しておきましょう。

また定義だけでなく、遅刻や早退があった場合の連絡手段やいつまでに報告するのか、等細かい要件も定めておくと良いでしょう。

 

②遅刻・早退控除の計算方法を就業規則に定めておく

同じく遅刻・早退による賃金控除に関しても明確にはされていないため、企業毎に賃金控除に関して定めておく必要があります。

ただし、賃金控除について定められていないからと言って、ノーワークノーペイの原則を無視した内容を自由に決める事は出来ないので注意しましょう。

 

 ノーワークノーペイの原則による賃金控除について、「どのような場合に」「どのような計算式」で控除が行われるのか、を就業規則へしっかりと記載しておくことが大事です。

 

遅刻/早退控除の給与の計算方法

 ノーワークノーペイの原則を適用し賃金を控除する場合、どのように控除額を計算すればよいのでしょうか。労働が行われなかった時間に対する給与の計算方法について、一般的に用いられる計算方法は以下の通りとなります。

 

・労働時間を控除する場合(遅刻・早退など)

 賃金控除額=(基本給+諸手当)÷1カ月の平均所定労働時間×不就労時間

 

・労働日を控除する場合(欠勤など)

 賃金控除額=(基本給+諸手当)÷1カ月の平均所定労働時間×欠勤日数

 

 この時「諸手当」について、いくら控除するかを考える必要があり、手当の種類によっては控除の対象外となる事も就業規則へ記載しておくと良いでしょう。

 またフレックスタイム制を適用している労働者に対して欠勤控除を行う場合には、上記の計算式に当てはめる事が出来ず、精算期間の総労働時間との兼ね合いでいくら差し引くかを判断する事になります。

 

まとめ

 遅刻や早退を含めた勤怠管理は乱雑になりがちです。計算ミスも発生しやすく、適切な管理を怠ると、法令違反にもなりまねません。正確な管理を行う為には、勤怠管理システムを導入する事をお勧めします。

 

 ネットがつながる環境であれば、様々なインターフェイスからの接続が可能であり、リアルタイムに正確な勤怠情報を取得する事が可能です。

 遅刻や早退の際にも、上長が速やかに内容の確認ができるため、管理も楽になるでしょう。

 

 勤怠管理システムを活用して適切な管理を行い、乱雑化されている遅刻・早退について正確に把握したいとお考えの場合は、是非弊社の「勤怠Trust」までお問い合わせください。

 

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